2010年05月17日

28.5日目

*この番外編は28日目日記(少女漫画テイスト注意)
をご覧になってからご覧ください。



ご覧になった方は続きへどうぞ。


【プランサイド】

「マリーとプラン!やっと来てくれたぁ〜〜」
 転移陣から顔を出すや否や聞こえたのは青年の泣きそうな声だった。
 光が消えると予想通りの人物がいた。
「ガトー」
 つり目の俺とあまり年齢が変わらない感じの男が半泣きで正座で
お出迎えである。

 つーか。
 ボロッボロじゃないか。

「お前、何されたの?」
 声をかけるなりガトーはめそめそ泣き出した。
「イソが〜〜〜」

 ぐしぐしぐしぐし。

 ゆっくりとベッドに向かって指をさした。
 イソはベッドに転がっているようだ。

 
 ん?

 んん??

 マリーがいぶかしげに少しずつ近づいていく。

「……イソ〜〜?」

 ぴた。とマリーが止まった。
 そしてくるぅりと振り返る。

 なんだ?

 とりあえずガトーの頭をぽんぽんと撫でてマリーに近づくと、

「♪〜〜〜」

 ……。

 マザーグース。


 しかもとびっきり残酷なやつ。

 
 なんか膝を抱えた状態で寝っ転がってマザーグース。


 こっち来てまた音楽初めたとは聞いてたけど。


 上手くなったぶん怖いっ!怖すぎる!!


「イソ〜?」

 マリーが勇気を出してさらに近づくと。
 さすがにイソも気がついて身体を起こした。

「……マリーちゃん、プランくん?」


 なんか表情がおかしい。
 髪の毛ぼっさぼさにほどいてエプロンドレスはそのまんま。
 しわになるからとマリーにいつも言われるから、面倒くさがりながら
この時間には着替えてるはずなのに。

「……ん?」
「……お兄ちゃんも気づいた?」

 ベッドとテーブルの周りだけ何か香りがいつもと違う。
 
 これは……。

 
 ……。

 …………!?


 ・・・…男性もののコロンの香り!?
 俺、この香り覚えあるんだけど。


 …………えーっと。何、したんスか?
 あ、幸いマリーはあんまり面識が無いのか、動揺してるだけのようだ。


「イソが、イソが〜〜、俺がもうやだって言ってるのに撫でくり
まわすのをやめてくれなくて〜〜」
 えっえっえっえっ。
 寂しかったのか、ガトーも近寄ってきて俺の足に抱きついてきた。
 ……ヒト型のまんまな。
「そうかそうか」
 それっていいことなんじゃないのか?
 うれしいだろ?



「ミシミシッてなんか変な音がするまでぎゅうぎゅうするから死ぬかと……っ」



 …………。



 ……イソ、何があった。

 マジで何があったんだよ。
 
 精神不安定なのはよくわかりました。
 わかりましたとも。

 とりあえずガトーには回復魔法を詠唱して傷を癒してやった。

 
 で。マリーは。

「あ……そうか。お夕食食べてから……もう一時間ぐらい経っちゃったのね?」
 ふわふわした状態のイソに
「何があったかは知らないけど、ちゃんと服はクローゼットに掛けなさいって
いつも言ってるでしょー?」
 普通に接している。

 ……上手いな。
 さすが女同志。
 しばらく観察するとするか。

「あ……ごめん」
「もー、まあいいわ。これは持って帰るから。新しいの作ったから明日、
エクちゃんのところ行って髪の毛巻いてもらってきなさい」
 約束だったでしょう?
「え、あ……うん」
 はい、とマリーが紙袋を手渡した。

 イソがもそもそと取り出している間に、鞭を久しぶりに日傘に俺も仕込み直す。
 うん。やっぱり今まで通り日傘の方が自然だわ。まだ。

 さて。今回の衣装はいかがかなお姫様?
「…………あれ?大人っぽい?
 もっとひらひらしたデザインじゃなかったっけ?」
「いいシルクが手に入ったから変更したのv」
 うふふ。
 そうそう。今回いきなりマリーがデザイン変更したんだよなー。
 アクセサリーは変更無しだったからまあよかったんだけど。

「それじゃ、イソ、私たちガトーと一緒に別の客室借りるからねー」
 必要な要件だけ伝えてマリーは俺たちをぐいぐいとドアへと追いやった。

 
 ぱたむ。


「ふぅ」
「お疲れ」
「マリーありがとよー!」
 きゃんきゃん。
 狼に戻ってガトーがマリーにじゃれつく。
 はいはい、とガトーを軽くかまってやると、マリーがつぶやいた。
「やっぱりねぇ……」
「何が?」
「なんとなく背伸びをしたがってるように感じて、ね」
 フェミニンすぎるのを今回はやめたの。
「まぁ、な」
 それはちょっと、わからないでもない。
 ちょっとは自分の足で立つようになったような気はする。


「……誰かはだいたい想像がつくけど、どうすんのかしらね」




d28-5.jpg





「…………無自覚ですか」
「何があったかは知らないけど、あの様子じゃそうだと思うけど?」
 ケロリ。
 …………女ってよくわからん。
 難しい。
 
posted by ちさの at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記ログ
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